アニメ『呪術廻戦』2期の夏油傑の闇落ちが芸術的すぎた話

オタ活
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アニメ『呪術廻戦』2期の「懐玉・玉折編」を見ました。

全5話という長くはない尺ながら、人気キャラ・五条悟先生の青春時代を最高のアニメーションで描いた今作。正直、傑作だったと思います。

また罠みたいなOPでしたけど、ほんとクオリティすごかったと思います。

で、さーーー。あのさーー。夏油傑。夏油傑ですよ、ちょっと!!!

チカ
チカ

夏油傑の闇落ち、芸術的すぎん?

呪術廻戦2期はこの記事を書いた段階でまだ未完結ですが、今回は「懐玉・玉折編」の夏油にだけフォーカスして語らせてください。

ちなみに私の『呪術廻戦』歴は以下の通りです。

  • 原作は完全未読
  • アニメ1期完走
  • 映画は1回だけ視聴

漫画の展開はミリしらで書いていますので、予めご了承ください。

夏油傑の“光→闇”への堕とされ方が巧みすぎていっそ美しい

1期を完走した段階で、私は夏油傑のことを「飄々として掴みどころがない外道」だと思っていました。原作勢からやたら人気がある理由がビジュアルしか思いつかん状態。

なので、高専時代も性格に難ありだったんだろうと思い込んだまま視聴スタートしました。

チカ
チカ

まさか自信家で悪ノリもするけど根は善良で人の気持ちに寄り添えるボーイだったなんてなーーー!!!(大声)

ともに最強コンビを自称する五条悟が自信家で悪ノリしすぎる口悪い系ボーイじゃないですか。二人でいると、余計に夏油傑の真面目さと優しさが際立ちます。

黒井さんに「あなたが家族だ」と伝えたときの笑顔。天内理子に最後に「帰ろう」って手を差し出す優しい表情、ステキでしたね。こいつぜったいモテると思いました。

かーらーのー怒涛の闇落ちドミノ!!!

そこに人の心はあるんか?

呪術廻戦のアニメでは、光と影を使った演出が多様されています。

理子の殺害を依頼した宗教の信者たちが彼女の遺体に拍手をしているシーンでは、光が天井から降り注ぐような演出がされていました。全体的に白く、群衆の顔が同じような笑顔で描かれており、現実味がありません。

夏油傑の価値観が崩れていく様がありありと伝わってきます。

「自分が命がけで守ろうとしていた対象に、価値を感じられなくなる」って流れは『幽遊白書』の仙水忍を彷彿とさせます。

仙水忍は、週刊少年ジャンプに連載されていた『幽☆遊☆白書』仙水編に登場する敵キャラ。元霊界探偵であり、主人公・幽助の先輩にあたる人物である。人間界のために命がけで妖怪と戦っていたが、ある任務で弱小妖怪に対する人間たちの非人道的な行為を目撃してしまい、闇落ちする。

夏油傑の場合、親友・五条悟の覚醒がより地獄を加速させているのがエグいです。

ほんとこれ。

同じ流れだったとしても、もっと時間差で発生していたら。または夏油傑がもう少し大人になってからだったらまだ耐えられたかも知れないのに、短期間でやり過ぎです。

何よりきついのが、五条悟が“理子の死”を含めてまったく夏油傑の苦悩を理解できていない点です。あんなに以心伝心のコンビだったのに、覚醒後の五条悟は自分の新しい力に夢中でした。

これは「あのとき気づいていれば」と後々の後悔に繋がらないか心配です。映画版見返したらめっちゃ後悔してそうだったわ。

チカ
チカ

呪術廻戦の高専はもっと生徒のメンタルケアに力を入れるべき。

危険な任務を命がけで遂行する意義のゆらぎ。最強コンビの片割れを担えなくなった孤独。

並の呪術師だったらここで静かにドロップアウトしていくのでしょうが、夏油傑は有能過ぎたので守るべき対象を変えるって方向に転換できちゃったって感じでしょうか。

助けた女の子2人への態度を見るに、本質的に善良で優しい人柄はそのままっぽいのが辛い。

チカ
チカ

この流れを実質1話内でまとめる脚本と演出の凄さよ。あまりに美しく巧みな闇落ちに、気づいたら玉折だけ2周してたわ。

私は『呪術廻戦』の見方を誤っていたなと反省した

アニメ1期と映画を見た時点では、私はあまり呪術廻戦のキャラクターを好きになれませんでした。

いまいち虎杖サイドに共感できないんですよね。

虎杖は状況が状況ですが、ほかのメンバーは、なんであそこまで頑張れるのだろう。あと現代設定(成人年齢が18歳以上の世界観)において、子どもを危険な任務に送り込む大人たちって構図が結構苦手。

しかし、今回の夏油傑の見事な闇落ちを見て、作者の本領は人間のプラス面ではなくマイナス面に発揮されるのかもな、と考えを改めました。

マイナス感情の解像度、なんかやたら高くない?

人は強いストレスを感じると、それまで我慢できていたほかの不満点まで許容できなくなることがありますが、呪霊玉の食レポなんてまさにこれですよね。

呪術師界隈から離脱を決意した直後に、極端な虐殺に走って自ら逃げ道を塞ぐところとか、限界突破した真面目な人間がやりそうな行動です。

チカ
チカ

何回も言うけど、ほんと夏油傑の闇落ち描写が巧すぎる。ほぼ1話の尺のなかで落とし切ってるのよ。すごくない?

エビさん
エビさん

考えてみれば、1期の順平の心理描写もリアリティあったよね。

原作勢の反応を見ると、今後も重たい展開が続くそうですね。キャラクターたちのマイナス感情に注目して視聴を継続していきたいと思います。

ところで映画版で夏油傑は死亡したような描写だったのに、なんで1期に出てきたのでしょう。っていうか、1期までに性格変わりすぎてない?追い打ちで何かあったのでしょうか。

2期後半でこの辺が解明されることも期待しています。

『渋谷事件』を途中まで見ての追記(2023年10月)

「夏油傑、なんか過去編と性格変わりすぎじゃね?」問題の答えが出たので追記します。

あーーへぇーー???

待って、あの白い脳みそDARE!?

いやいやいや、夏油くんちょっと可哀想すぎないか。呪術廻戦って、生命の軽視というか、尊厳の軽視というか、ちょいちょいそーいう演出やってくるよね。別に華々しく死を描けとは思わないけれど流石にこれは可哀想だよ!!?(早口)

現代編に戻ってきて、改めてやっぱり私は呪術廻戦の高専側キャラに共感できないなと思うわけです。シリアスシーンで唐突に挟まれるギャグや変則的なノリも苦手。

ただ玉懐・玉折編を経て、五条悟の無双シーンにちょっと孤独感が混ざって見えたのはとても良いと思いました。

1期での彼が予想以上の最強っぷりだったので、これは早々に退場させないと主人公・虎杖を食ってしまうのではないかと心配でした(実際、2期の主人公は五条先生に見える)。

しかし、過去編によって五条の「最強=かっこいい」が「最強=寂しい」という文脈に変わり、光属性全開の虎杖とうまく棲み分けがされたように感じます。

玉折の夏油は覚醒後の五条と並び立てなくなって孤独を深めましたが、五条も同じように孤独を深めたわけですね。悲しい。

……ちなみにアニメで封印されちゃった回のあとに本誌のネタバレをSNSで踏みました。現場からは以上です。

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