2023年1月5日、私は福岡市博物館を訪れた。目的は、国宝「へし切長谷部」の鑑賞である。
日本の国宝の年間公開日数は最大60日間と決まっている。国宝である「へし切長谷部」も、原則として1年に1度、約1ヶ月間しか公開されない。
2020年に刀剣乱舞と出会い、速やかに刀ステの沼に落とされた私にとって、へし切長谷部の鑑賞は人生のtoDoリストと割と上のほうにあった。
「やっと、やっっと会えたね長谷部!!!」
(日本号おじさんもちわっす!)
念願叶った記念として、これから長谷部を見に行く人向けにメモを残します。
へし切長谷部が公開されるのは正月明け
福岡市博物館には刀剣乱舞に登場する黒田家由来の3振りが収蔵されているが、普段見られるのは日本号のみ。国宝の2振りは展示期間が限定されている。
- 名物「日本号」:常設
- 国宝「へし切長谷部」:毎年1ヶ月間公開(1月が多い)
- 国宝「日光一文字」:毎年1ヶ月公開(2月が多い)
長谷部とバトンタッチする形で日光が展示されるのがパターン化しているようなので、うまく日程を組めば3振りみんな鑑賞できる。
正確な展示予定は福岡市博物館のスケジュールを要チェック。
刀剣のなかには不定期公開だったり、1日限定公開だったりする刀剣もあるので、毎年1月に1ヶ月も鑑賞させてくれる長谷部はまだ見やすいほうだと思う。
たとえば数珠丸さんは兵庫県尼崎市の「本興寺」で年に1日だけ公開されます。きれいだった〜。
ちなみに会期途中では長谷部を裏返すのが恒例となっている。根本に刻まれた「長谷部」の文字が見たい人は、1月後半に見に行くのがおすすめ。
本日より圧切長谷部、差し裏を公開です。
展示は2月5日(日)まで。 pic.twitter.com/LKZd4Yu12u
— 福岡市博物館 (@fukuokaC_museum) January 24, 2023
福岡市博物館の基本情報
開館時間 | 9:30〜17:30 (最終入館17:00) |
休館日 | 月曜日 ※月曜が祝休日の場合は翌平日 |
場所 | 福岡市早良区百道浜3丁目1-1 |
アクセス |
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入館料 | 200円 ※JAF会員は150円 |
長谷部と日本号おじさんはなんと200円で鑑賞できる!
私はJAF会員カードを提示したので150円で見られた。あと同じチケットで常設展示室にも入れる。安すぎだろ、いいのか。
グッズが買えるミュージアムショップは入館料すら不要。
クリアファイル買っちゃった!!!こうやってクリアファイルだけがひたすら増えていく……!
博物館の所要時間は、おそらく1時間もかからないくらい。
博物館の見どころとしては、刀のほかに国宝 金印「漢委奴国王」があるが、博物館だけで1日潰れるってことはない。
博物館のあとに福岡観光する人は、地下鉄orバスの乗り放題きっぷを博多駅で購入するのがおすすめ。あと、私みたいに関西から福岡に行く人は、ホテル+新幹線パックが何だかんだで一番手軽&お得だと思う。
(4時間+スマホ充電不可の条件でいいなら、最安値は多分「とくとくこだま」)
へし切長谷部、写真撮り放題
展示室はそれほど広くなくて、入るとあっさり長谷部に会える。私が訪問した1月5日はド平日だったので、公開初日だったにも関わらず人は少なめだった。
これびっくりしたんだけど、長谷部の写真、撮れるんすわ。
いや、結構ダメじゃん。藤森神社の鶴丸(写)も撮影禁止だし、本興寺の数珠丸恒次も撮影禁止だった。
なのに、長谷部はいいんだって!
ちなみに日本号おじさんも撮り放題。ただ、三脚やフラッシュなどは禁止っす。周囲の人に配慮して撮影しよう。
【おしらせ】福岡市博物館の常設展示室・企画展示室内では、圧切長谷部・日本号の展示される黒田名宝展示を含め、写真撮影が可能です。撮影に際しては各種注意事項をご確認ください。また、他のお客様にご配慮のほどをよろしくお願いいたします。1/4 16:22 #おまたせへし切長谷部 #日本号 pic.twitter.com/lYl0sNswAW
— 福岡市博物館 (@fukuokaC_museum) January 4, 2017
へし切長谷部を鑑賞した感想は「意外と幅広」
作中の長谷部といえば、
打刀のなかで機動1位を誇り
すらーっとした見た目と繊細そうな言動
そして「死ななきゃ安い!」と叫んで金刀装をふっとばす統率の低さ
っつー、いろんな意味で「速くて細くて可愛いやつ」なイメージが私のなかにはあったわけだが、本刃の印象としては幅が広く感じた。
反りが浅くて、突かれたら壁まで串刺しにされそうである。
「こりゃ茶坊主隠れても無理だわ」感がすごい。
そして長谷部の見どころと言われる「皆焼(ひたつら)」の刃文が美しい。刃文というと、刃側(切る側)にだけあるのが一般的だけど、長谷部はこれが刀全体にある。
観覧の際はぜひチェックしてほしい。
(写真は反射してうまく撮れなかったので、博物館のツイート載せます)
圧切長谷部の特徴は皆焼(ひたつら)の刃文。焼きが刃先だけでなく、地の部分にも飛び、それが刀身全体に散らばりとても華やかです。天井のオレンジ色の灯りが刃と地の境に反射するよう目線の高さを調整し、左から右にじっくりご覧下さい。刃文がよく観察できます。 #へし切長谷部 #福岡市博物館 pic.twitter.com/fzufeTY0b3
— 福岡市博物館 (@fukuokaC_museum) January 16, 2017
なお私がいったときは拵えは展示されていませんでした。そこだけちょっと残念。
隣にいる日本号、でか〜い!みやび〜!
長谷部の隣には日本号(常設)がいらっしゃるわけだが、一言でいって
超でかい。
これ、本当に振り回せたんだろうか…と思ったけれど、ちゃんと実戦で使われた傷跡も残っていた。バケモンか。
そして、刃に掘られた倶利伽羅龍の細工が優美。職人さんすごすぎる。
鞘と柄の全体には螺鈿細工が施されており、派手派手である。
当時はこのような螺鈿細工はなく、ゲームのイラストのように黒漆の柄に熊の毛皮の鞘だったとの言い伝えもある。ただ、今の装飾も上品な派手さで日本号らしい。
長谷部のスンッとした美しさと、豪快かつ雅な日本号おじさんの存在感の対比は見ごたえがあった。
福岡市博物館、映画で聖地になるか?
この記事を書いている前日、奇しくも「劇場版・刀剣乱舞」の新情報が発表された。
舞台は2012年。どうやら現代に飛んだ長谷部は、自分の本刃がある福岡で仮の主となる女子大生(ギャル)と出会い、夜行バス「はかた号」で東京を目指すことになるらしい。
もうすでに面白い。
発表直後から「ギャルと長谷部」「刀剣どうでしょう」などとパワーワードがSNSに踊り、スクリーンの上のほうに移動中の光景をワイプで写してほしいなどのコメントで大盛りあがりした。
福岡市博物館(と、はかた号)、もしかしたら聖地になるかもしれない。
福岡は観光地としても魅力的だし、『ユーリ!!! on Ice』や『ゾンビランドサガ』の聖地として有名な唐津市にも近い。
っていうか、私、YOI好きすぎて唐津にもう4回くらい行ってます。今回も行きました。
「長谷部みてみたなー」という審神者さまは、ぜひ冬の福岡旅行を計画してみてはいかがだろうか!?