中国大河ドラマ「瓔珞(エイラク)~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~」にどハマリし、寝不足になりながら最終話まで完走しました。
その前に見た「宮廷の諍い女」もどえらい面白さだったけど、「瓔珞」も最高に面白かった……!
なので、瓔珞の復讐劇を見届けた記念に感想を書いてみます。
ネタバレを含みますので、未視聴の方はお気をつけください。
「瓔珞(エイラク)~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~」のあらすじ
清王朝・乾隆帝の時代、後宮の繍坊(衣に刺繍を施す部署)に一人の女官が入る。彼女の名前は魏瓔珞(ぎえいらく)。瓔珞には、後宮で不審死を遂げた姉の復讐をするという目的があった。
生来の聡明さと度胸を武器に、女官から皇后付きの侍女、そして妃へと登り詰めていく瓔珞。愛憎渦巻く後宮で、一人の少女の人生をかけた復讐劇が幕を開ける。
スタート地点が身分の低い女官というのが斬新。この時代の女官は、権力者の気分次第で簡単に死罪に近い罰を与えられる身分なので、毎話ハラハラします。
「諍い女」の甄嬛は純粋なお嬢様スタートだったけど、瓔珞は最初から復讐モードの火力全開で見応えあるよね。
第一話が無料公開されているので、作品の雰囲気掴みたい方はぜひどうぞ。
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【ネタバレ】瓔珞の最愛の人は、傅恒と乾隆帝のどちらだったのか?
瓔珞は、前半で仕えていた富察皇后の弟・傅恒と恋仲になります。が、瓔珞が乾隆帝の興味を引いてしまい、結果的に2人は別れ、瓔珞は妃として召されることに……。全話通して瓔珞の復讐が主軸ではあるのですが、後半は乾隆帝との恋愛の駆け引きがメインになってきます。
ただ、別れたあとも瓔珞と傅恒は互いを知己として認め合います。2人の強固な信頼関係に、乾隆帝は嫉妬でイライラ。
その一方で、瓔珞は乾隆帝との間に多くの子を授かり、最終話のラストでも仲睦まじい様子。
結局、どっちが最愛の人だったわけ?
って疑問に思いますよね。これ、本国のほうの意見もちょっと調べたけど、明確な答えはなく、視聴者の解釈委ねる形っぽいです。
- 傅恒が最愛の人だが、乾隆帝にも情はあった
- 最初は傅恒が好きだったが、その後で乾隆帝を愛した
- どっちも愛してる
- 本音ではどっちも愛していない
さて、どれなのだろうと私も考えてみました。
「どっちも愛していたが、最優先は復讐だった」だと思う
瓔珞にとって、最大の理解者であり、信頼できる人は間違いなく傅恒だったと思うんですよね。後宮からの駆け落ち疑惑を逆手に取った辺りなんで、もう阿吽の呼吸でしょ。
一方で、乾隆帝に対してはあの手この手で寵愛を得ようとする冷静さがあり、最初は復讐の道具くらいの感覚だったと思うんですよ。ただ、妊娠した辺りでは情は抱いているように見えます(明玉にも指摘されてますし)。
なので、どっちも愛していたんだと思います。ただ瓔珞の価値観において、恋愛も自分らしい生き方もどっちも大切ってだけで。
瓔珞の時代は家父長制のカラーが強く、ドラマで描かれる価値観も、女性は一族の男性や夫のために犠牲になることを良しされている節があります。ただ、瓔珞は母や姉の死、富察皇后の死を見て、男性のために自分を歪ませる女性の生き方に疑問を抱いています。
どれだけ夫に真心を捧げても、心変わりされれば耐えるしかないという窮屈さ。夫は側女を好きに作れるけれど、妻が夫以外と関係を持つのは許されないという不平等。女性に見識を広める機会を与えないくせに、女性は浅はかだと決めつける理不尽。
恩には報いるけれど、やられたら倍返しする主義の瓔珞には、家や夫に一方的に尽くすという女性の生き方がそもそも馴染まないように思います。恋愛で自己犠牲はしない瓔珞だけれど、子どもや友人のためにはかなり身を削って戦ってますしね。
視聴者の感覚に合わせているのか、瓔珞の価値観はかなり現代的。中国でヒットしすぎて国から放送中止にされたのもちょっとわかります。
よって「傅恒や乾隆帝に恋愛感情はあったけれど、自分を変質させるような愛し方はしなかった」というのが私の解釈になります。
「瓔珞」の主題は恋愛ではなく、一人の女性が個を貫く物語だった
ドラマの舞台となる後宮は、皇帝のために作られた美しく閉鎖的な世界です。基本的には皇帝の寵愛がすべて。冷遇されれば、侍女や宦官からも蔑ろにされてしまいます。
つまり、皇帝のお気に召すよう振る舞えという強烈な圧力が女性に対してかかる世界なんですよね。
そのなかで、瓔珞は自らの“個”を貫きます。皇帝を含めたさまざまな権力を利用し、大切な人の無念を晴らしていく様はまるでヒーロー。皇帝に不快に思われようが、女性や弱者が権力者から虐げられたら絶対にやり返してるあたり、お気に召したい気持ちはさっぱりないわけです。
実父に逆らい、家を捨てて復讐のために後宮に乗り込んで来た時点で、当時の価値観からすると相当ぶっ飛んでますが。
最終話で嫻妃に「なぜあなたは皇帝の寵愛を掴めたのか」と問われ「あなたは皇帝を一途に愛していた。なぜ正直にそれを口に出したのです?先に言ったほうが負けですよ」(うろ覚え)と返していました。この辺からも、“個”を捧げるような恋愛はする気がない様子が伺えます。
この“個”としての強さ、ブレのなさが、瓔珞というキャラクターの強烈な魅力と言えます。
さらに、傅恒の「今生で私は君を守りきった。来世は君が私を守ってくれるか?」という遺言! これがもう完全に瓔珞を理解した言葉なんですよね。
「来世こそは夫婦になって欲しい」ではなくて「今回は守ったのだから、次は守ってくれないか? 君はそういう人でしょう?」なのが、瓔珞の価値観を含めて深く愛していたとわかる言葉です。すごくグッときました。傅恒イケメンすぎんか。
男尊女卑な時代を舞台としながら、ここまで女性の個としての生き様にフォーカスして描いた脚本に脱帽。
日本に輸入されている中国大河ドラマは傑作揃いと評判ですが、「瓔珞」は私の周りでも突出して評価の高い作品です。
だいたいみんな一気見して「瓔珞すごい!やり切る女だ!すごい!」と絶賛してます。
見放題対象がU-NEXTだけなのが残念ですが、ぜひ機会があったら視聴してみてください。おすすめです!